5-1-13 その他の関連機器

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1.13.1 排ガス用流量計

1.はしがき

 流量計は気体・液体・蒸気等の流量測定を行う計器であり、工場等において生産量・原材料・蒸気・燃料など、生産活動に必要な量の把握や制御に欠くことのできないものである。環境計測においては、工場、火力発電所、清掃工場、上下水処理施設等から排出される排ガスや排水の流量を測定し、同時に他の計測器からのデータからその中に含まれる有害物質の含有量を計測し、放出される総有害物量を算出して管理する方法がとられている。
 排ガス用流量計は、工場・事業所等から排出される排ガスが対象で、大口径の煙道(大流量)、高温耐熱、耐ダスト等が要求される。煙道の形状は円形又は角ダクトである。
 従来、計量法には、「熱式排ガス流量計、面積式排ガス流量計、動圧式排ガス流量計、差圧式排ガス流量計、羽根車式排ガス流量計、渦式排ガス流量計、超音波式排ガス流量計」の7 種類が規定されていたが、平成5 年(1993 年)10 月の計量法の改正により、これらの流量計から「排ガス流量計」とだけ規定されている。
 以下に主な排ガス用流量計の原理及び特徴について述べる。

2. 測定方式

2.1 熱式流量計

 図1 に、熱式流量計の原理図を示す。気体流中に加熱温度センサと非加熱温度センサをおくと、加熱温度センサは流体により熱を奪われて温度が変化し、非加熱温度センサとの間に温度差が生じる。この温度差と流速が一定の関係があることを利用し流速を測定することができる。平均流速に管路の断面積を乗ずることにより、流量を測定する。

 実際の製品では、電流で加熱し流れにより冷却される温度センサ内蔵の金属細管と、流体温度を測定する温度センサ内蔵の金属細管とが一体になったものが検出端として構成され、管路の側面から管路中に挿入する構造になっている。耐ダスト性を高めるため、検出部分に空気パージを付加したものが使用されている。計測点は任意に選べるが、通常は管路の中心が選ばれる。可動部がなく低流速から高流速までの広い流速範囲が使用でき、各種ガス流量を高精度で測定できる。使用温度範囲は、550 ℃までカバーしている。測定は1 点計測であるため、安定した流速分布を得られるよう、上流側に直管長を設置する場合がある。高ダスト濃度や、付着性物質を含む排ガスでは定期的な洗浄が必要になる。

2.2 ピトー管式流量計

 図2 に、ピトー管式流量計の原理図を示す。測定原理は、オリフィスを用いた差圧式流量計と同じで、絞りの前後の圧力差が、絞りを通過する流量の2 乗に比例する原理を利用したものである。

 管路にピトー管を挿入し、先端(全圧測定孔)に流体の全圧を受け、後壁面(静圧測定孔)にその静圧を受け、両方の圧力を差圧計に導いて差圧を測定し、流速を知るものである。これに管路面積を乗じて流量を測定する。
 大口径の煙道用としては、単一点のみの流速測定では不正確なため、多孔式ピトー管が開発されている。これは、ピトー管壁に数個の全圧測定孔を設け、そのライン上に平均流速が得られるようにしてある。
 流速の平均化を図るため、全圧測定孔をスロット形状にする製品も開発されている。これにより平均流速の向上を図っている。センサ検出孔は、圧力を受け目詰まりしにくい構造になっており、センサ内部に混入したダストをテール部分から除去可能のパージ機構を付けることができる。材質等を選択することにより最高約1000 ℃まで使用可能になる。また、高い測定精度を得る為に実流量試験や理論値での補正を行っている。
 ピトー管式の場合も、付着性物質を含む煙道では、保守対策に留意しなければならない。

2.3 差圧式流量計

 図3 に、差圧式流量計の原理図を示す。管路に挿入した絞りの前後の圧力差が、絞りを通過すると流量の2 乗に比例する原理を利用したものである。気体・蒸気・液体の測定に、最も数多く使用されている流量計である。絞り機構を利用しており、精度が良く、適切な材質の選択により温度範囲は0 ~ 1000 ℃が可能である。

 高ダストの排ガス測定に用いるには、ダスト堆積の障害があるため、絞りの種類が制限される。排ガスに応用できる絞りとして、ベンチュリ管、欠円オリフィス、偏心オリフィス等があり、ダストが生じにくい構造になっている。底部を下流側に向けたコーン形物体を配管内中央に置いた絞りがある。オリフィスに比べ、レンジアビリティが14:1 と約3 倍になり、上流側直管長が1/5 と少なくなる特性がある。
 通常管路に接続して使用されるため, 大口径になるとコストアップになる。また、保守作業のためバイパスラインが必要な場合があり保守対策に留意が必要である。なお、差圧式流量計に関して、JIS Z 8762「絞り機構による流量測定方式」に規定がある。

2.4 羽根車(タービン)式流量計

 図4 に、羽根車(タービン)式流量計の原理図を示す。

 タービン流量計は、流れの中に置いた羽根車の回転速度が流速に比例することを利用したものである。ロータの回転を電磁気的に検出してパルス信号に変換する。小型のタービン流量計を大口径煙道に挿入し、流速を測定し排ガス流量を測定する。
 高温でミスト・ダストが多い排ガスの測定は、困難であったが、空気軸受けを採用した挿入形タービン流量計が開発され、測定が可能になった。清浄な圧縮空気を空気軸受に送り、ロータを浮上させ回転させる。圧縮空気の排出により、軸受部にダストなどの浸入を防止し、粘着性の高いダスト・ミストを含む排ガス計測を可能にしている。空気軸受は、高温条件下でも隙間をもって回転し、センサコイル等耐熱性のある材料の使用により、0 ~350 ℃の温度範囲で測定が可能である。上流側に直管長が必要である。付着性物質を含む煙道では、保守対策に留意しなければならない。

2.5 渦式流量計

 図5 に、渦式流量計の原理図を示す。流れの中に柱状物体を置くと、その下流側に交互に渦が発生する。発生した渦の周波数は、流速に比例する。この渦の数を検出して流量を測定する。渦の検出方法として、渦発生に伴って往復して流れる気体の流速変化をサーミスタの抵抗値変化として検出する。この方式は、渦の検出感度に優れており気体専用とされている。排ガスのように、一般に密度が低く渦のエネルギが小さい流体測定に適している。

 煙道排ガスのような大口径の場合は、その側面から挿入形渦式流量計を管中央部に向かって挿入し、流速を検出する。管内の流速分布から平均流速に換算し、管断面積を乗じて流量を求める。センサ部を外部からクリーンなガスでパージして、排ガスが直接センサに触れないようにし、耐ダスト性を高めた製品も実用化されている。使用温度範囲は、最高350 ℃まで可能である。上流側に直管長が必要である。柱状物体へのダストの付着があり保守が必要である。なお、渦式流量計に関して、JIS Z8766「渦流量計による流量測定方法」に規定がある。

2.6 超音波式流量計

 図6 に、超音波式流量計の原理図を示す。管路の一部に1 組の超音波送受信器をとりつけ、管内を斜めに横切って超音波を発信する。超音波が気体中を上流方向に伝播する時間と、下流方向に伝播する時間との差を検出して流速を求め、配管の断面積を乗じて流量を算出する。配管内部に突出部分がないシンプルな構造で、圧力損失がなくレンジアビリティが広い。測定管を管路に接続して使用する。使用温度範囲は、最高180 ℃まで可能である。防爆タイプが用意されており、大口径にも使用可能である。
 上流側に直管長が必要である。超音波放射面に多量のミストが付着すると、超音波がミストにより減衰し測定が不可能になる場合もあり、定期的な保守が必要である。

1.13.2 酸素計測器

1. はしがき

 酸素は空気中に約21vol %存在し、生物の呼吸作用や燃料の燃焼に不可欠の要素である。酸素はまた、化学的に活性な物質であるので、古くから種々の化学プロセスにおいて、その濃度計測が非常に重要であった。
 酸素はそれ自体大気汚染物質ではないが、窒素酸化物や塩化水素の排出に際し「空気で薄めて排出する」ことを防止するため、それらの濃度を施設の種類によって定まる酸素濃度に換算して測定することになっており、このための酸素濃度の測定が必要である。(本書の資料編1.環境計測器と法規制の表2.8「窒素酸化物の排出基準の概要」を参照。)
 また、ボイラの燃焼管理・制御において、最適な酸素濃度を維持することは、窒素酸化物やCO2 の排出を削減するためにも、省エネルギの上でも重要である。公害関連において連続的に酸素濃度を計測する必要性が多くなってきている。
 現在大気中の酸素濃度の連続計測器として使用されている主な測定原理のものは、酸素の常磁性を利用したものと、電気化学的性質を利用したものである。以下に、酸素計測器の原理及び特徴について述べる。
 なお、主に燃焼管理を目的として排ガス中の酸素を連続的に測定するための自動計測器に関して、JIS B 7983「排ガス中の酸素自動計測器」で、磁気法、ジルコニア法、電極法が規定されている。

2. 測定方式

2.1 酸素計測器

 各種ガスの磁化率を比較すると、図7 のようで、酸素のみが非常に大きい常磁性を示し、その他のガスは一般にわずかの反磁性を示す。
 常磁性を利用する酸素計測器は、磁気風によるもの、磁 気力を測定するものに分類される。後者は、さらにダンベル形と圧力検出形に分けられる。

2.1.1 磁気風法
 この方式は、古くから開発され、測定セルの構造に多くの種類がみられる。図8 に示すものは、円筒状の測定室の中に円錐状の2 つの磁極があり、その間にガラス被覆したリング状の熱線素子(白金線などに電流を流し150 ~200 ℃に加熱したもの)が挿入されている。

 常磁性である酸素は、磁界のもっとも強い熱線の周辺に吸引されるが、そこで熱線で加熱されると磁性が弱くなり、下側の冷たいガスに押し上げられて測定室内に磁気風と称する風が生じる。磁気風の強さは、測定ガス中の酸素濃度に比例し、それによる熱線の温度は、磁気風による冷却効果のほかに、それを取り囲むガスの熱伝導率、密度、比熱、粘性などによっても関係するので、測定室とは別に、磁場がかけられていない類似の比較室の中にも熱線を設けて、測定側の熱線の磁気風以外の冷却効果が補償される。2 つの熱線は、ホイートストンブリッジを構成し、抵抗変化をブリッジの不平衡電圧として検出している。感度を一定にするため、ブリッジには一定電流が流され、測定セルは恒温槽に収められている。
 図9 に示す測定セルの構造は、ガスの通路がドーナツ状で、その中央に薄肉のガラス管で出来ているバイパスがあり、その外周に熱線が巻かれているバイパス管の中央より左側によったところに磁極があり、永久磁石で強い磁場が与えられている。酸素を含む測定ガスは、この磁場の最も強いところへ吸引されるが、管の外側に巻かれている熱線で加熱されると磁性は弱くなり、左外側の新しい冷たいガスに押し出されて、管の中を左から右への磁気風が生じる。この構造は、図8 の構造に比較してガスの熱伝導率の大きいガス、例えば水素中の酸素の測定も可能である。

磁気風による原理のものは、図10 に示すように共存ガスにより幾分スパンが変化するので、あらかじめ残りガスの組成を決めて校正する必要があるが、再現性はよく安定性は非常に高い。

2.1.2 磁気力方式ダンベル法
 図11 に示すように、磁場の中に非磁性体の2 連球(ダンベル)が白金や石英の細線で吊るされている。測定ガスを2 連球の周囲に導くと、ガス中の酸素が2 連球を押しのけて磁場の最も強い部分へ近づこうとするため、球が磁界外に押し出されるような力が働き吊り線は捩られる。この捩れは、吊り線の中央に固定されている反射鏡による光の動きとして検出されるが、その信号によって捩れを元に戻すような電流が励磁コイルに流れ、この電流の大きさが酸素濃度に対応するので、この値から酸素濃度が測定される。
 この方式は、機械的衝撃には幾分弱いが、ダイナミックレンジが広く、共存ガス影響も比較的小さく、応答速度も速い。

2.1.3 磁気力方式圧力検出法
 磁界内で2 つのガスが接する時、その間にガスの磁化率の差に比例した圧力差を生じる。一方を酸素濃度が一定の基準ガスとすると、この圧力差から他方の測定ガスの酸素濃度を測定することができる。信号の検出や増幅には、交流の方が容易であるので、磁界を交番磁界する。微圧の検出には、非分散形赤外線吸収法ガス分析計に用いられているコンデンサマイクロホン計検出器やマイクロフローセンサなどが用いられる。
 図12 は、磁気力方式圧力検出法酸素計測器の原理図で、基準ガス流量の影響を軽減するために差動方式としている。この原理のものは、基準ガスが必要であり構造は幾分繊細であるが、共存ガス影響が比較的小さく応答速度も速い。

2.2 電気化学的性質を利用する酸素計測器

2.2.1 ジルコニア法

(1)濃淡電池法
 ジルコニア(ZrO2)にカルシア(CaO)、イットリア(Y2O3)などを加えた安定化ジルコニアは、高温において酸素イオン(O2-)を伝導する固体電解質となる。固体電解質の両面に、多孔質の白金電極を設け、それぞれの電極に酸素濃度の異なる気体を置くと、酸素イオン伝導が起こり、次式に示すように電極間に起電力が発生する。

ここに、

 図13 に、濃淡電池法酸素計測器の原理図を示す。図14に、濃淡電池酸素センサの例を示す。
片側の電極に基準となるガス(例えば空気)を流すと、起電力はもう一方の電極に存在する測定ガス中の酸素濃度のみ関係するため、このとき発生する起電力を検出することで、酸素濃度を測定することができる。

 測定出力は対数特性であるため、直線化のためのリニアライザが必要であり、原則としてゼロガス、スパンガスでの標準ガスによる校正が必要とされている。特にゼロは理論上起電力が無限大となるため、ゼロガス校正時には注意を要し、測定レンジの10 %程度の酸素を含む標準ガスが用いられている。
 この計測器は、測定セル自身が高温であるので検出部を燃焼プロセス内に直接設置する事ができ、サンプリング系が不要のため応答時間が極めて短縮でき、燃焼制御用に多く使用されている。また、NOx, CO 等測定用サンプリング装置の後段にも使用が可能で、NOx, CO のO2補正用にも使用されている。特殊用途として、還元雰囲気中の平衡状態O2 分圧測定による熱処理炉の制御用にも使用されている。また、可燃性ガスが含まれると、高温の測定セルで燃焼して酸素が消費されるので、負の誤差を与えるが、通常の燃焼排ガスではほとんど問題とはならない程度の誤差である。

(2)限界電流法
 図15 に, 限界電流法酸素センサの原理図を、図16 に、限界電流法酸素センサの例を示す。
 両電極間に直流電圧を印加すると、カソード電極で酸素ガスがイオン化され、イオン化された酸素が固体電解質中をアノード電極まで移動し、アノード電極で酸素ガスに戻るという酸素ポンプとして機能する。カソード電極を多孔質層で覆い、電極への酸素ガスの移動(濃度拡散)を制限すると、印加電圧を上昇させてもポンプ電流が増加せず、電流が飽和する限界電流特性を示す。

 この限界電流法は、測定ガスの酸素濃度に比例することから、この電流を検出することで、酸素濃度を測定することができる。測定出力は、酸素濃度と比例関係であり、酸素濃度ゼロでは理論上限界電流もゼロであるため、校正は測定レンジのスパン側(例えば、空気)のみで精度が得られるので、標準ガスは不要である。
 用途は濃淡電池方式と同様、直接挿入方式による燃焼制御及びサンプリング方式によるNOx ,CO 補正用であるが、N2 中の微量O2 (ppm オーダー)測定も可能である。また、可燃性ガスが含まれると、高温の測定セルで燃焼して酸素が消費されるので、負の誤差を与える事は濃淡電池方式と同じであるが、通常の燃焼排ガス測定ではほとんど問題とはならない。この限界電流法に前述の濃淡電池法を組み合わせた複合方式も製品化されており、精度、応答性、外乱に対する安定性に優れている。

2.2.2 電極法
 図17 に、電極法酸素計測器の構造例を示す。金の陰極と銀の陽極の間にゼリー状の電解質が塗布されており、その上に酸素のみを透過する薄いプラスチック製の隔膜が、かぶされている。両電極感に0.5 ~ 0.8V の電圧が印加されると、酸素濃度に比例したポーラログラフ的限界電流が外部回路に流れて酸素濃度が測定される。

 同様な隔膜を用いる電極法の酸素濃度計として、ガルバニ電池酸素計測器がある。この方式は、貴金属電極(銀又は金等)[陰極]と卑金属電極(鉛)[陽極]が電解液中にあり、陽極は隔膜を介して空気と接している。
 この膜は酸素のみを透過し、この透過された酸素は、両極に負荷抵抗を接続すると、陰極に酸化反応を起こし、電位が発生し、その電流値を酸素量とする方式である。セル寿命に限界があり、定期的な取換えが必要であるが、小型で持ち運びの容易な計測器である。

1.13.3 校正用ガス調製装置

1. 大気汚染計測器の校正

 測定方式の検討、標準化、トレーサビリティの確保のためには、信頼性の高い標準試料が必要である。試料の組成と類似する標準ガスは、流量比混合による多成分混合・加湿方式で得られ、試料と極めて類似していて好都合であるが、運転操作が煩雑になり経費の面でも高価になる。JIS K 0055「ガス分析装置校正方法通則」の規定など、一般に校正用標準ガスは、調製された2 成分標準ガスを用いることが多い。各種ガスの濃度を測定する計測器は、標準ガス又は等価液による校正を行って初めて正確な濃度の測定ができる。赤外線吸収法や化学発光法のような乾式測定法による計測器に対して、校正は、標準ガスを計測器に導入することにより行う。この校正を動的校正という。動的校正を用いれば、原理的にはサンプリング、反応部分、検出部分を含めて系統的な誤差を抑えられ、その上、各種原理・型式の計測器にも採用でき、同一の測定値が得られることになる。これに対し、等価液等による校正は、静的校正とよばれ、環境大気中の汚染物質を測定する湿式測定法で用いられている。溶液導電率法SO2 計測器、ザルツマン法NO2 計測器等には、静的校正が採用さ れているが、測定器の検出部分でのガス物質と吸収液との反応を仮定して調整されるので、試料採取過程は含まれず、採取流量の校正が必要である。

2. 標準ガスの供給体系

 計量法の第8 章「計量器の校正等」において、計量器及び標準物質のトレーサビリティ制度が創設されている。計測器の校正に使用する標準ガスには、計量法のトレーサビリティ制度に基づく1 級又は2 級の標準ガスを使用する。図18 にトレーサビリティ体系を示す。

 標準ガスの計量法トレーサビリティ制度における供給体系は、次のとおりである。

① 経済産業大臣の指定を受けた指定校正機関は、自らが保管する標準ガス製造装置を用いて、特定標準ガス(一次標準)を製造し、維持・管理を行う。

② 経済産業大臣の認定を受けた認定事業者は、指定校正機関で濃度値の値付けを受けた特定二次標準ガスの維持・管理を行う。指定校正機関は、特定二次標準ガスの値付けの際、計量法標準供給制度(JCSS)のjcss ロゴマーク付きの証明書を発行する。

③ 認定事業者は、自らが調製した実用標準ガスの濃度を、特定二次標準ガスの濃度値を基に値付けする。

④ 認定事業者は、標準ガスを市販する際に、JCSS のjcss ロゴマーク付きの証明書を、1 製品につき1 枚発行することができる。

 表1 に現在供給されている標準ガスの種類、範囲、精度を示す。
 現在、校正用ガス調製装置の検査については、(財)日本品質保証機構により実施されている。これに該当する装置としては、「流量比混合法によって混合ガスを連続的に調製する装置」及び「ゼロガスを連続的に発生させる装置」の2 種類がある。現在検査可能な濃度範囲は表2、表3 のとおりである。

3. 校正用ガス調製装置による調製方法

 現在までに実用化されている校正用ガス調製装置のうち、流量比混合法、パーミエーションチューブ法(拡散管法)、化学反応法の各方式による装置及びゼロガス調製装置について述べる。

(1) 流量比混合法
既知濃度の目的成分ガス(純ガスの場合もある)とJISK 0055「ガス分析装置校正方法通則」に記載されている希釈ガスの流量を、それぞれ正確に計測して調節し、流量比によって混合する方法である。流量の制御は、厳密に校正された流量計(毛細管式、熱測定形質量流量制御式などが用いられている)によって行う。流量比混合法により、高濃度から低濃度まで広範囲にわたり標準ガスを調製することができるが、流量計の信頼性を確保する必要がある。毛細管式には、差圧測定方式、比率設定方式、等があり、用途によって特徴づけられている。

(2) パーミエーションチューブ法(拡散管法)
パーミエーション管の内部に液化ガスを封入し、これを一定温度に保つとき、単位時間に管壁を通して拡散するガス量は一定となる.これを一定流量の希釈ガスで希釈して低濃度標準ガスを連続的に調製する方法である。二酸化硫黄、二酸化窒素、塩素、アンモニア等の標準ガスの調製に利用される。

(3) 化学反応法
原料ガスの全部又は一部を、連続して化学反応させ標準ガスを得る方法である。この方法を利用した装置としては、気相滴定(GPT)法と酸素酸化法によるNO、NO2及びO3 の発生装置がある。図19 に、化学反応法によるNO、NO2、O3 モニタ校正用の流路を示す。

(4) ゼロガス調製装置
低濃度ガスをつくるためには、希釈ガスとして目的成分や妨害成分を含まないものが必要である。また計測器のゼロ調整用ガスとしても同じである。原理的には、触媒酸化吸着法とオゾン酸化吸着法があり、いずれも不純物を酸化させた後、モレキュラシーブ等の吸着剤を通して精製したガスを供給する装置である。吸着筒を複式にして自己再生しながら連続使用できる精製器の流路を図20 に示す。

4. 校正用流量計

 流量のチェックは前述の静的校正以外に、検出部を最適条件で作動させるためにも重要である。流量のチェック用としては石けん膜流量計や湿式ガスメータが一般的に用いられている。現在、基準流量計の供給体制の構築が検討されている。

1.13.4 石油中硫黄計測器

1. はしがき

 大気を汚染するSO2 ガスは、主に重油などの燃料油中に含まれる硫黄成分に原因する場合が多い。このため、従来から石油製品中の硫黄分析法のJIS K 2541「原油及び石油製品-硫黄分試験方法」が制定され、計測器による分析法として、「放射線式励起法」が規定されている。この方式は、滴定法、燃焼管式、ボンベ式などに比べて、分析に要する時間が短い、ベテラン分析者でなくても分析ができる、再現性が優れているなどの特徴がある。以下に、この測定原理及び特徴について述べる。なお、参考法としてJIS で規定している、「波長分散蛍光X線法」についても簡単に述べる。

2. 測定方式

2.1 放射線励起法

 線源(密閉された放射性同位元素又はX 線)から放射された放射線もしくはX線は、物質を構成する元素を励起し、励起された元素はその元素固有の蛍光X線を出す。この性質を利用すると物質の特定元素の定性定量ができる。この原理を用いたものが、放射線励起法石油中硫黄計測器である。
 図21 に、放射線励起法石油中硫黄計測器の構成例を示す。計測器は線源、試料セル、セル台、放射線検出器からなる検出部と、波高弁別器、演算器、表示器からなる演算表示部から構成されている。
 この方法は、軽油、重油など揮発性が少なく、硫黄分0.01 %以上の石油製品に適用できる。原油にも適用できるが、揮発分の多い場合は、試料セルが変形しないように速かに測定する必要がある。測定試料と校正用試料との炭素・水素比(C/H)が大きく変わると、これによってバックグラウンド値が変り、測定値が影響を受けるので、C/H 自動補正機構を内蔵しているものが多い。放射線源を用いる代りにX 線管を用いて励起するものは、放射線源の所持、取扱いなどの規制を受けないことはいうまでもない。この方式は、重元素の測定値への影響が少ない、試料を秤量する必要がない、流動点の高い試料も問題なく測定できるなどの特徴を持っている。

2.2 波長分散蛍光X線法

 JIS K 2541 には参考法として、波長分散蛍光X線法による硫黄分試験方法が、①液状石油製品、石油製品の添加剤、並びに半固体及び固体石油製品のうち中程度の加熱で液化するか、又は既知の有機溶媒に可溶なものの硫黄含有量を測定するための方法として、②硫黄含有量として0.0010 ~ 2.50% の範囲の石油製品又は添加剤に適用する方法として紹介されているが、JIS K 2541 の一部ではないとされているので詳細は省略する。

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