4 電子応用計測ガイド

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電子応用計測ガイドブック
一般社団法人 日本電気計測器工業会編

 一般社団法人 日本電気計測器工業会は、1948年創立され、現在主として電気計測器類の製造を営む、およそ130社の会員で構成され、その取り扱い品目は、指示計器、電力需給計器、電気測定器、電子応用計測器、ファクトリー・オートメーション(FA)用計測制御機器、プロセス・オートメーション(PA)用計測制御機器、環境計測器、放射線計測器など、広く計測と制御に関連するもので、今日に至るまで、わが国における産業の発展に大きく寄与してまいりました。

 第二次産業の発展段階においては、生産活動が主体であり、したがって計測対象は、主として時間、電気量、温度、圧力、流量といった物理量でしたが、社会的ニーズの変化と科学、技術の進歩が相候って、次第に消費者である人間を中心とした領域に計測の対象が移行し、味覚、嗅覚、触覚などの感覚計測の分野が開拓されてきました。また半導体技術や信号処理技術の発展は、大量の情報を扱う画像処理についても目覚ましい発展を見るにいたっています。

 今回当工業会では、会員会社以外にも呼びかけ、物理量、感覚量、あるいは電子応用計測システムに関連する最新の技術と情報を網羅した、"電子応用計測ガイドブック"を発刊する事になりました。最新の機器、システムおよび製造会社などを紹介した本書が、広く関係各位にご利用いただき、お役に立つことが出来れば幸いに存じます。また本書がトリガーになり、第2次産業分野のみならず、第1次、第3次産業分野においても感覚計測に関する議論が広く行われん事を念願する次第であります。

 ここに本書の幅広いご活用をお願いすると共に、今後も当工業会は新技術分野の発展に積極的に貢献してまいる所存でございますので、一層のご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

一般社団法人 日本電気計測器工業会

はしがき

 21世紀も間近になった高度産業社会の今日、20世紀の科学技術の進歩に支えられた第2次産業がその発展の中心的役割を担ってきました。その中で、電気計測器は、あらゆる産業のマザーツールとして、第2次産業の発展に大いに寄与してきました。

 日本電気計測器工業会が取り扱っている電気計測器の1分野である電子応用計測器は、電気測定器から発展分離したものであり、電気・電子的手段により、各種物理・化学量計測を主目的とした計測機器です。このように、電子応用計測器は、どちらかといえば、測定原理・技術の観点(シーズ)からの分類であり、その中で発展・普及した計測品目は、業界向け(ニーズ)の独立した計測機器として取り扱われております。

 電子応用計測器の歴史を簡単に振り返りますと、1930年代頃から「物理量の電気計測」として、電気が計測分野の主役になってきました。また、1950年代半ば頃から、戦後の工業の発展と共に、温度・圧力・流量などを扱うPA計測制御機器の中のトランスデューサが独立した計測器品目として扱われてきております。また、1960年頃に、原子力発電の発展と共に、放射線計測器の分野が独立項目としてあげられています。

 1960年代後半の高度成長時代に公害の問題がクローズアップされ、1970年代に、環境計測器が独立した品目として、取りあげられています。また、1970年から80年にわたって産業界の生産合理化の要請により、FA計測制御機器も発展してきています。

 これらの歴史的流れに見られるように、新規に開発された技術や計測器が、電子応用計測器から独立して、1つの計測ジャンルを形成しております。このように、電子応用計測器は、その性格上多方面にわたる用途に応用できうる汎用的な技術をベースとした計測器と位置づけることができます。

 今後の新しい傾向としては、計測器のシステム化があげられます。これは、1980年代から90年代にかけてのコンピュータとその周辺技術の発達が大きな影響を与えています。これらのシステム化により、産業界においては、高信頼性、自動化、省力化などに大きく寄与しているだけでなく、最近の多品種少量生産システムの要求に対しても応えております。さらに、第2次産業だけでなく、情報・サービス・交通・流通などの第3次産業にも新しい計測システムが利用されつつあります。

 もう1つの新しい傾向としては、人間の五感に代表される「感覚計測」があげられます。この分野は、視覚・聴覚などごく一部の分野にのみ、実用化されておりますが、全体的に見るとまだまだ未発達の分野であり、今後大いに期待される分野であります。

 このような背景のもとに、多方面にわたるユーザ層、業界に利用されている電子応用計測器及びシステムの全体をまとめ、幅広いユーザ層に便利なレファレンスブックとしてご利用いただくと共に、本分野のさらなる需要を喚起するために、本"電子応用計測ガイドブック"を編集することに致しました。

 なお、本ガイドブックは初版ですので、基本的には、日本電気計測器工業会の"FA計測制御機器ガイドブック"にならって編集しており、掲載品目ごとに写真または図などを入れ、わかりやすい構成になっております。また、掲載品目の説明文につきましても、概要をご理解頂けるように、1ページ4品目を最小スペースとしております。また、利用する皆様が簡単に索引できるように、本ガイドブックの付録の最初に会社別掲載製品系列一覧表を載せております。また、本ガイドブックは、上記の趣旨により、日本電気計測器工業会会員以外の製造会社および販売会社にも掲載していただいております。
 ここに、"電子応用計測ガイドブック"の発刊に当たり、電子応用計測器及びシステムユーザ皆様方の本ガイドブックのご利用と、ご愛顧、ご指導をお願いいたします。予定掲載品目に応募がないものや、掲載品目の分類などに偏りがあると感じる箇所もございますが、今後の改訂でさらなる内容の充実を図っていく所存ですので、内容、編集についてのご意見、ご批判をぜひともお願いする次第でございます。

 本ガイドブックをとりまとめるにあたり、本文および広告掲載会社をはじめ関係各位に多くのご協力を賜り、ここに厚く感謝の意を表する次第であります。

一般社団法人 日本電気計測器工業会
電子応用計測ガイドブック編集委員会

総説

1.電子応用計測ガイドブックの性格とねらい

 電気計測器全体の中で、電子応用計測器は長さ、圧力、回転速度、時間、音、振動などの各種物理量を電気的な方法により測定することを目的とした機器であり、電気測定器の分野より、発展してきている。新しい計測技術が可能となった新計測器がまず、電子応用計測器に分類され、発展したものは独立した分野(例えば、PA、FA、環境計測器、放射線計測器など)として取り扱われてきている。今後も感覚計測などの新技術、新分野が期待できる。このように、電子応用計測器は、あらゆる計測ジャンルのマザーツール的性格を持つもので、明確にその性格、範囲などを規定しづらいジャンルである。

 また、最近のインターネットブームに代表されるようにパーソナルコンピュータの普及に伴い、単品の計測器よりも、パソコンとソフトウェアを利用したセンサと計測器を組み合わせた計測システムへのニーズが大きくなってきている。このような計測システムを本ガイドブックでは電子応用計測システム(第3編)と呼び、これらの関連を下図に示す。

電子応用計測システムの概念図

 このような背景により、今回の初版電子応用計測ガイドブック編集の主なねらいを以下とした。

  1. 多方面にわたるユーザ層・産業界に利用されて普及しつつある電子応用計測器及びシステムの全体をまとめて、本分野のジャンルを確立する。
  2. 製造業(第2次産業)は主に、R&D、LA、品質検査、設備診断などをターゲットとする。
  3. 感覚量計測、画像計測に焦点を当てる。(寄稿文参照)
  4. 第1次、第3次産業を新たな対象分野とする。(農業、物流、通信、販売など)

2.掲載の範囲

 上記1.の記載の趣旨に基づいて、第1版の電子応用計測ガイドブックの掲載範囲を以下のように規定した。

掲載の範囲

 電気・電子的な手段により、物理量・化学量・感覚量を検出する汎用センサおよびそれらを計測・分析して表示または記録する機器及び装置で、それらの機器で構成したシステム及びそのソフトウェアも含む。

以下の機器は、除くものとする。

  • FA用、PA用、環境計測、放射線計測などの分野の「専用器」
  • 電子式化学分析器(感覚量など他の応用を目的とする機器は含める)
  • 医用電子計測器

3.編集区分

 本ガイドブックでは、全体を3つの編に分け、各編毎にいくつかの品目に分類してまとめてある。目次にあるように、大分類は以下の通りである。

 第1編 電子式物理量計測器

 第2編 電子式感覚量計測器

 第3編 電子応用計測システム

 各編に関しては、各々の冒頭に編全体の解説を行い、記載製品またはシステムの概要と技術説明を行い、その後に具体的な商品またはシステムを掲載している。製品掲載順は、各品目毎に会社の五十音順と様式A・B・C順(1ページ当たり、4製品/2製品/1製品の種類)にソートしてある。ただし、ページスペースの配分上、一部その順序になっていない箇所があるので、ご了承頂きたい。各ページの上部欄外に各品目の製品区分が明記してあるので、ご活用願いたい。

 付録の会社別掲載製品系列一覧表には、該当製品の掲載ページを示し、ご利用の際の便を図った。

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