5-1-6 粒子状物質計測器

製品検索はこちら

1.6.1 環境大気用

1.はしがき

 環境中の浮遊粒子状物質は、環境基準の定義では、「大気中に浮遊する粒子状物質であって、その粒径が10 ミクロン以下のもの」と定義され、日平均値、1 時間値のmg/ m3 濃度値で表される。作業環境は、労働安全衛生法により7.07 μm 以下の吸入性粉塵と定められている。これらの浮遊粒子状物質の自動計測器は、分粒方法と測定法の組合せにより構成される。
 環境の浮遊粒子状物質の自動計測器は、昭和49年(1974年)環境基準制定時、1 時間値の計測は、相対濃度測定法の光散乱方式を使用されていたが、技術開発の普及により昭和56 年(1981 年)の環境庁(環境省)告示第47 号以降は、質量濃度測定法が追加され、現在は質量濃度測定法のβ線吸収法が、主に使用されている。
 平成2 年(1990 年)以降、国際的な整合性と微小粒子の健康被害等から、環境中の浮遊粒子状物質は、PM2.5 (粒径2.5 μm 以下の粒子)、PMCOARSE(粒径2.5 ~ 10μm)及びディーゼル排ガス粒子(DEP)や微小粒子の環境計測の検討が行われている。

標準測定法と分粒方法の種類
 浮遊粒子状物質の環境基準に定められる標準測定法は、JIS Z 8814「ロウボリウムエアサンプラ」に示される分粒特性(図1)に適合する分粒方法により、JIS K 0901「気体中のダスト試料捕集用ろ過材の形状、寸法並びに性能試験方法」のろ過材を使用して、30 L/min 以下の流量で捕集後、捕集した粉塵量を秤量して、採気量と粉塵量よりmg/m3 質量濃度を求める。

 自動計測器の分粒方法は、JIS Z 8814「ロウボリウムエアサンプラ」の図2(a)重量沈降形(b)慣性衝突形(c)遠心分離形の3 種類の主に(c)(b)が用いられている。新たなPM2.5の測定は、平成12年(2000年)に、環大企「PM2.5質量濃度測定方法暫定マニュアル」として、米国環境保護庁(EPA)に準拠したテフロンろ過材を使用する基準法(FRM)を標準測定法と定めている。

 この分粒方法は、慣性衝突形のEPA-WINS(FRM)が定められているが、計測器には、EPA-WINS 以外に、この分粒特性(図3)に適合したシャープカットサイクロンや慣性衝突形の仮想面(バーチャル)を持つバーチャルインパクタ(図4 ダイコトマス)等が使用される。

2.測定方式

 大気中の浮遊粒子状物質の濃度を連続的に測定する計測器に関して、JIS B 7954「大気中の浮遊粒子状物質自動計測器」に 1)β線吸収法、2)圧電天びん法、3)フィルタ振動法と相対濃度測定法、4)光散乱方式、5)吸光光度法が規定されている。
 以下に、それぞれの原理と特徴を述べる。

2.1 β線吸収法

 ろ紙上に捕集した粒子によるβ線の吸収量の増加から質量濃度を計測する。図5 に示す、分粒器・捕集機構・β線源・検出器・流量制御部・演算制御器などで構成する。β線源は、密封線源の14C や147Pm などの低エネルギレベルのものが使用される。検出器は、シンチレーション検出器・電離箱・半導体検出器等を使用する。分粒器は、遠心分離形(サイクロン)が主に使用される。

2.2 圧電天びん法

 粒子を静電的に水晶振動子上に捕集し、質量の増加に伴う水晶振動子の振動数の変化量から質量濃度を求めるもので、図6 に示すように、大気導入口、等速吸引機構、浮遊粒子状物質捕集・検出器、洗浄機構、高圧回路、演算制御器、大気吸引部、指示部などで構成される。

2.3 フィルタ振動法

 ろ紙上に捕集した粒子による円錐状振動子の振動数の低下から質量濃度を計測する。図7 に示す、大気導入部・等速吸引機構・捕集部・検出器・発振回路・流量制御部・演算制御器などで構成される。

2.4 光散乱法

 粒子による散乱光量から相対濃度としての指示値を得るもので、図8 に示すように、大気導入部、検出器、光源、光源安定化回路、増幅回路、演算制御器、大気吸引部、指示部などで構成される。

2.5 吸光光度法

 ろ紙上に捕集した粒子による捕集時の吸光量・反射量の変化から相対濃度を計測する。
 ろ紙上に捕集したPM2.5 以下の粒子を、β線吸収法の質量濃度と、その中のディーゼル排ガス粒子(DEP)中の無機炭素(EC)量を反射量の変化から相対濃度で同時に計測する装置もある。
 無機炭素の質量濃度は、計測器と同時に石英ろ紙上に捕集したサンプルを、 サーマルカーボン計により700-800 ℃以上燃焼したときの無機炭素質量濃度から校正して使用される。

1.6.2 固定発生源用

1.はしがき

 排ガス中のばいじん濃度の測定は、JIS Z 8808「排ガス中のダスト濃度の測定方法」に基づいた測定が行われている。しかし、JIS 法は手分析であるため、濃度の瞬間的な変化や時間的な変動を知ることができない。一方、燃料の効率的な利用を促進させるための熱管理や、集塵機の性能管理などには、ダスト濃度の連続的な測定方式として、(1)光透過法( 2)光散乱法( 3)摩擦静電気検出法 がある。

2. 測定方式

2.1 排ガス中のダスト濃度の測定法

(JIS Z 8808)

(1) 測定位置
測定位置は、排ガスの流れが比較的一様に整流され、作業が容易で安全な所を選ぶ。

(2) 排ガス温度の測定
液体封入ガラス温度計(水銀温度計など)又は電気式温度計(熱電対、電気抵抗式温度計など)により測定点の温度を測定し平均値とする。

(3) 排ガス中の水分量の測定
測定法には、吸湿管法、凝縮器法(ガス中に水分量が比較的多い場合に適用)及び計算法(使用燃料の量、組成、空気量、湿度などから計算)があるが、吸湿管法が一般に用いられる。

(4) 排ガス流速の測定
ピトー管とマノメータを用いて、測定点の排ガスの動圧を測定して流速を計算する。この場合、排ガスの単位体積あたりの質量を求めるために、温度、静圧、組成、密度などを測定する。

(5) ダスト試料の採取
図9 の構成例に示す様な試料採取装置で、ダストを採取する。この場合の吸引流量は、(4)で測定した排ガス流速で計算した流量に合わせる事(等速吸引)が必要となる。

2.2 光透過法

 排ガス中に測定光を投射すると、ダクト内を流れるガス中のダスト粒子により、その一部が遮光され、元の光量が減衰し受光素子に投射される。受光した光エネルギを測定して、ダストの相対濃度を求める方法である。投光器と受光器を排ガスダクトに対向して直接取り付ける方法がほとんどであるが、煙道から排ガスの一部を吸引して、煙道外部に設けられた測定光路に導いて測定する方法もある。
 図10 に光透過法構成例を示す。測定光源と受光素子を収納した検出部と反射器を、煙道に対向して取り付け、測定光を同一光路で往復させるダブルビーム方式もある。
 この方式は、基本的にはLambert-Beer の法則を利用しているので、受光量はダスト濃度には比例しない。また、光軸調整が困難など難点はあるが、装置は、一般に比較的安価で手軽にダストの状況をモニタリングできるのが利点である。

2.3 光散乱法

 煙道から吸引された排ガス中のダスト粒子に測定光を投射した時、ダスト粒子により測定光が吸収、散乱される。その散乱光強度が、ダスト濃度に比例する性質を利用したものである。
 検出部を通過するダスト粒子に継続的に測定光を照射し、散乱光を電気的に変換、演算処理を行う。ダスト濃度の校正は、標準散乱棒でのスパン点校正、クリーンエアでのゼロ点校正が可能であり、JIS Z 8808 による測定値による重量換算係数設定が可能である。また、ガス採取口から煙道ガス流速に等しい流速で吸引する等速吸引方式に近似しており、流速による誤差はほとんどなく、JIS Z8808 法の測定値に近い値になるので、ダスト濃度の公害用連続測定器として活用されている。光散乱法の検出部 例を図11 に示す。

2.4 摩擦静電気検出法

 2 つの固体粒子が接触すると、粒子間で電荷の移動が起こる。この電荷の移動は、摩擦静電気あるいは接触帯電として知られている。排ガス中にプローブ状のセンサを挿入し、粒子がセンサに衝突又は、近くを通過すると電荷の移動が起こり、発生する電流の大小によってダストの相対濃度を求めるものである。摩擦静電気によって生じる電流は、次式で与えられる。

ここに、

摩擦静電気検出法の構成例を、図12 に示す。この計測器は、流速により測定値が変動するが、ダストのオンライン監視装置としては設置工事が容易で保守性に優れている。

製品検索はこちら

目次へ
ページトップへ