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- 8-2-4 SISに対する安全要求仕様
8-2-4 SISに対する安全要求仕様
- 1. 機能安全管理
- 2. 潜在危険及びリスク評価
- 3. 防護層への安全機能の割り当て
- 4. SISに対する安全要求仕様
- 5. SISの設計及びエンジニアリング
- 6. SISの設置、引渡し及び妥当性確認
- 7. SISの運用及び保全
- 8. SISの部分改修
- 9. 使用終了
- 10. 適合確認(準備中)
- 11. 機能安全評価及び監査(準備中)
- 12. 安全ライフサイクルの構成及び計画(準備中)
SISに対する安全要求仕様
安全ライフサイクル フェーズ3
1.目的
SISに要求されるSIFとその安全度を決定する。
SISへの安全要求は基本的に、エンジニアリング会社が決定する。
SISへの安全要求の割当ての引継ぎ事項、引渡し事項は以下の通り。
① 引継ぎ事項
・安全要求事項の割当ての説明
② 引渡し事項
・SISの安全要求事項に対する説明
・アプリケーションプログラムに対する説明
2.手順
JIS C 0511-1の要求に従い、SRSを作成する。SRSには、①SISの安全要求事項に対する説明、及び②アプリケーションプログラムに対する説明を含むものとする。
a)SRSの構成
上記①、②はそれぞれSISの共通事項と、SIFの二つに大別することができるため、SRSの構成は、共通仕様編とSIF編の2部構成をとることが多い。
b)既設設備に新規にSISを導入するときのSRSの作成
JIS C 0511-1に記載されている要求事項は、新設設備にSISを導入するケースを想定して書かれているため、既設設備にSISの導入を検討しているユーザはSRS作成に際して戸惑うことが多い。理由は既設へのSIS導入の場合、ユーザの設備、会社で実績のあるセンサ、バルブはそのまま流用してSIFを構成することが多く、SIFがSILを満たしているか否かの妥当性判断が困難である場合が多い。この場合、センサとバルブを初回のSIS導入時のSIFの構成要素から一旦除外して、ロジックソルバのみの共通仕様部のSRSを作成する手法が適用できる。これは初回のSIS導入時はロジックソルバのみのSRSを作成し、流用したセンサ、バルブはSIS初回導入以降の後続のフェーズにてそれぞれ別途妥当性検討を行うか、又は妥当性検討された、即ち、SIL認証が取得された機器との入れ替え等でセンサ、バルブを含めたSIFを一気通貫でSILの評価を行うものである。
SRSをこのようにフェーズで分割して作成する場合の注意点として、センサ、バルブは既設を流用しても、H&RAは、当該プロセスに対して漏れなく実施し、SISとしてあるべき姿を正しく押さえておくことが重要である。この注意点を留意することで、後続のフェーズにおけるSRSの共通仕様部への波及を防ぐことができる。
以下、次の箇条c)、d)にて、JIS C 0511-1に記載されている要求事項を列記する。また当該要求が共通仕様であるか、SIF仕様であるかも併記しているので、SRSを作成される際は参照されたい。
c)JIS C 0511-1に記載されているSRS要求事項(アプリケーションプログラム以外のSISの安全要求事項)
- 要求する機能安全を達成するために必要な全てのSIF の説明[例えば,原因結果図(Cause and Effect Diagram),ロジック基本設計書](SIF仕様)
- プラントの装置識別方式によって,明確に識別した各SIF に関連する入出力機器リスト(例えば,フィールドタグリスト)(SIF仕様)
- 共通原因故障を特定及び考慮するための要求事項(共通仕様)
- 安定した状態を達成している,及び規定した危険事象を回避しているか又は十分に緩和している状態のような特定した各SIF に対するプロセスの安全状態の定義(SIF仕様)
- 同時に発生する場合に別々の潜在危険を生成する,全ての個々の安全なプロセス状態の定義(例えば,非常用貯蔵設備への過流入,及びフレアシステムへの同時多重排出)(共通仕様)
- 各SIF に対して想定する作動要求源及び作動要求率(SIF仕様)
- プルーフテスト間隔に関する要求事項(SIF仕様)
- プルーフテスト実施に関する要求事項(SIF仕様)
- プロセスセーフティタイム内でプロセスを安全状態に導くための,各SIF に対する応答時間の要求事項(SIF仕様)
注記 プロセスセーフティタイムの詳細については,JIS C 0511-2:2023 を参照。 - 各SIF に対する要求SIL 及び運用モード(作動要求モード,又は連続モード)(SIF仕様)
- SIS のプロセス量測定方法,測定範囲,測定精度,及びそれらのトリップ点の説明(SIF仕様)
- SIF のプロセスへの出力動作,及び動作成功の判定基準の説明。例えば,弁の漏れ率(SIF仕様)
- 各SIF のロジック,演算機能,及び要求する操作許可条件を含む,プロセス入力及び出力の間の機能上の関係(SIF仕様)
- 各SIF に対する手動シャットダウンに関する要求事項(SIF仕様)
- 各SIF に対する励磁トリップ又は非励磁トリップに関する要求事項(SIF仕様)
- シャットダウン後の各SIF のリセット操作に対する要求事項(例えば,トリップ後の操作端の,手動,半自動,又は全自動リセットに対する要求事項)(SIF仕様)
- 各SIF に対する許容最大誤作動トリップ率(SIF仕様)
- 各SIF の故障モード,及びSIS の望ましい応答(例えば,アラーム,自動シャットダウン)(SIF仕様)
- SIS の起動,及び再起動の手順に関して規定する全ての要求事項(共通仕様)
- SIS 及び他のシステム間の全てのインタフェース(BPCS 及びオペレータを含む。)(共通仕様)
- プラントの運用モードの説明,及び各モードにおけるSIF の運用に関する要求事項の説明(共通仕様)
- バイパスをどのように管理し,実施後どのように解除するのかを説明する,バイパス中に適用する文書による手順を含む,バイパス方法に対する要求事項)(共通仕様)
- 全ての関連するヒューマンファクタも考慮した,SIS 内でフォールト(群)を検出したときに,プロセスの安全状態を達成又は維持するために必要な全ての作業の仕様(共通仕様)
- 移動時間,場所,保有部品,サービス契約,及び環境的制約を考慮した,SIS に実施可能な平均修理時間(共通仕様)
- 回避する必要のあるSIS の出力状態の危険な組合せの特定(共通仕様)
- 輸送,保管,設置,及び運転でSIS が遭遇する可能性のある限界環境状態の特定。このために次の事項を必要に応じて検討してもよい。温度,湿度,汚染物質,地絡,電磁妨害/無線周波妨害(EMI/RFI),衝撃/振動,静電気放電,電気品に対する危険場所区分,浸水,雷及びその他関連する要因(共通仕様)
- プラント全体(例えば,プラントスタートアップ)及び個々のプラントの運用手順(例えば,装置の保全,センサの校正又は修理)の両面に対する,定常及び非定常時のプロセスの運転モードの特定。これらのプロセス運転モードを補助するために,SIF を必要に応じて追加してもよい。(共通仕様)
- 重大事故でも作動が必要な全てのSIF に対する要求事項の定義(例えば,火災発生時に弁に要求する作動可能時間)(SIF仕様)
d) JIS C 0511-1に記載されているSRS要求事項(アプリケーションプログラムのSISの安全要求事項;下記文中の箇条番号は、JIS C0511-1に記載された箇条番号を表す)
- 10.3.3 アプリケーションプログラムの安全要求事項は,SRS 及び選択したSIS のアーキテクチャ(配置及び内部構成)から導き出さなければならない。アプリケーションプログラムの安全要求事項は,SRS の中に含むか,又は別の文書(例えば,アプリケーションプログラム要求仕様書)としてもよい。各SIS サブシステムに対するアプリケーションプログラムの安全要求事項への入力情報には次の事項を含まなければならない。(共通仕様)
(ア)センサの票決回路などを含む,各SIF で規定する安全要求事項(SIF仕様)
(イ)仕様ハードウェア及び組込みソフトウェアの限界,制約などのSIS のアーキテクチャ及び安全マニュアルに起因する要求仕様(共通仕様)
(ウ)5.2.4 で示す安全計画に関する全ての要求事項(共通仕様) - 10.3.4 アプリケーションプログラムの安全要求事項は,要求するSIF をSIS のアーキテクチャと矛盾なく実現するために必要な,プログラマブルなSIS の各機器に対して規定しなければならない。(共通仕様)
- 10.3.5 SIS アプリケーションプログラムSRSは,要求する機能安全を達成するための設計及び実現ができるように,並びに機能安全評価(FSA) が実施できるように,十分に詳細でなければならない。このため次の事項を考慮しなければならない。(共通仕様)
(ア)アプリケーションプログラムが受けもつSIF 群,及びそれらのSIL(SIF仕様)
(イ)CPU 処理容量などのリアルタイム性能パラメータ,ネットワーク帯域,フォールト時に許容するリアルタイム性能,及び全てのトリップ信号を規定した時間内での受信(共通仕様)
(ウ)該当する場合には,プログラム順序付け及び時間遅延(共通仕様)
(エ)装置及びオペレータインタフェース,並びにそれらの操作性(共通仕様)
(オ)SRS で規定する全ての関連するプロセスの運用モード(共通仕様)
(カ)センサ値レンジ範囲外,変化量過大,値固着,回路断線検出,回路短絡検出などの,プロセス変数異常時に実施すべき作業(共通仕様)
(キ)アプリケーションプログラムで実行する,プルーフテストを実施可能にする機能,及び外部機器(例えば,センサ及び操作端)の自動診断テスト(共通仕様)
(ク)自己監視型のアプリケーションプログラム(例えば,アプリケーション駆動のウォッチドッグ,及びデータ範囲の妥当性確認)(共通仕様)
(ケ)SIS 内での他機器の監視(例えば,センサ及び操作端)(共通仕様)
(コ)プロセス運転中に実施するSIF の定期テストに関連する全ての要求事項(SIF仕様)
(サ)引継ぎ事項の文書の参照文献(例えば,SIF 仕様書,SIS 構成又はアーキテクチャ,及びSIS のハードウェア安全度の要求事項)(共通仕様)
(シ)通信インタフェースに対する要求事項(要求事項には,その使用を制限する手段,並びに受送信するデータ及びコマンドの有効性を含む。)(共通仕様)
(ス)アプリケーションプログラムによって起こる,プロセスの危険状態(例えば,二つの隔離用ガス弁が同時に閉止すると圧力変動によって危険状態になり得る。)の同定及び回避(共通仕様)
(セ)各SIF に対するプロセス変数の妥当性確認の判定基準の定義(SIF仕様) - 10.3.6 SIS アプリケーションプログラムSRSは次に示すように表現し,かつ,構成しなければならない。(共通仕様)
(ア)アプリケーションプログラムの安全要求事項の背景にある意図及びアプローチを説明する。(共通仕様)
(イ)SIS 安全ライフサイクルのあらゆるフェーズでこの文書を利用する人々にとって,明確かつ理解が容易である。このことは,全てのユーザ(例えば,プラントオペレータ,保全員,アプリケーションプログラマ)にとって明確で理解できる用語の使用及び説明であることを含む。(共通仕様)
(ウ)適合確認可能,テスト可能,及び部分改修可能である。(共通仕様)
(エ)詳細設計書,SRS,及びH&RA を含む,要求するSIF 及びSIL を特定する全ての成果物を通じてトレース可能である。(共通仕様)



