- JEMIMAトップページ
- お役立ち情報
- 技術解説
- 8 安全計装システム(SIS)
- 8-2 安全ライフサイクル
- 8-2-3 防護層への安全機能の割り当て
8-2-3 防護層への安全機能の割り当て
- 1. 機能安全管理
- 2. 潜在危険及びリスク評価
- 3. 防護層への安全機能の割り当て
- 4. SISに対する安全要求仕様
- 5. SISの設計及びエンジニアリング
- 6. SISの設置、引渡し及び妥当性確認
- 7. SISの運用及び保全
- 8. SISの部分改修
- 9. 使用終了
- 10. 適合確認(準備中)
- 11. 機能安全評価及び監査(準備中)
- 12. 安全ライフサイクルの構成及び計画(準備中)
防護層への安全機能の割り当て
安全ライフサイクル フェーズ2
1.目的
防護層への安全機能の割り当ての目的はJIS C 0511-1:2019 9.1のように規定している。
防護層への安全機能の割当ては、基本的にユーザが実施する。
防護層への安全機能の割当ての引継ぎ事項、引渡し事項は以下の通り。
① 引継ぎ事項
必要なSIFの説明、危険事象発生時の人、機器(設備)、環境への影響の説明
② 引渡し事項
"安全要求事項の割当ての説明"[JIS C 0511-1:2019 表2]
2.手順
a)危険事象の頻度が減少、及び/又はその結果発生する危害が減少するように防護層の設計をする。
⇒ それぞれの防護層はプロセスリスクを制御及び/又は緩和する他の防護層と連携して機能する機器及び/又は管理手段から成り立っている。
b)個々の防護層へ、あるプロセス及びそれに関連した機器から生じる潜在危険を予防、制御又は緩和するための安全機能を割り当てる。
c)割当てられた安全機能のリスク低減目標を決定する。
⇒ この割り当てにおいては規制上の要求事項又は他の産業規制が、割当て過程の優先順位を決定することもある。
d)SIFに要求されるSILは、この機能から得られる必要なリスク低減を考慮して求められなければならない。
e)SIFに作動要求モードか、連続運用モードかを割当てる。
3.多層防御によるリスク低減の考え方
図8-2-3-3-1にリスク低減の一般的な概念を示す。
プロセスリスクを開始点とした、目標の許容リスクを達成するための必要なリスク低減モデルである。このモデルでは次の事項を想定している。
a)プロセス及び関連する基本プロセス制御システム(BPCS)が存在する。
b)関連する人的要因の問題がある。
c)安全防護層に次のような特徴がある。
① 機械的防護層システム
② SIS
③ 機械的緩和システム
必要なリスク低減は、許容リスクを満たすために、達成されなければならないリスク低減の最低水準である。それは、リスク低減手法の一つ又はその組合わせで達成することが可能である。

図8-2-3-3-1 多層防御によるリスク低減概念
4.SILの割当て
SISに割り当てられるSIFの安全度要求事項を規定する(4 段階の)水準があり、安全関連系が担うべきリスク低減の度合いである(表8-2-3-4-1参照)。SIL 4が安全度の最高水準、SIL 1が最低水準となる。各レベルに対して、表に示す機能失敗確率が割り当てられている(低頻度作動要求モードの場合)。
より高水準の機能条件を満たすために、低水準のSILをもつシステムを幾つか用いることが可能である(例えば、SIL 3相当の機能の必要性を満たすために、SIL 2とSIL 1システムを合わせて使用できる)。
SILは安全ライフサイクルのほとんどのフェーズで、査定される最も重要な水準である。例えば、SILは、「計画開始のリスク評価・解析結果から求められるSILの決定」から、「要求SILを達成するシステム・機器の選定、設計」、「要求SILを満足した状態での運用と保全」とライフサイクル全般に亘って評価、査定がなされる。
表8-2-3-4-1 安全度水準(SIL)

5.防護層解析(LOPA)の例
ある高圧ガスを扱うプラントにおいて、10-1/年の割合で超加圧状態の危険な状態になる設備があると仮定する。この設備に対し何の防護層対策が無い場合は、10-1/年の割合で危険なガスが外部へ漏れることになる。そのリスクを下げるために何層かの防護層を割当てる。(図8-2-3-5-1参照)
ここで最終的な安全目標レベルを、「発生頻度を10-4/年より小さくする」とすると、シナリオ3、5が目標値を上回り、他の防護対策が必要となる。

図8-2-3-5-1 防護層一つによるリスク低減
そこで、他の技術による防護層を一つ追加する。しかし、防護層又は外部のリスク低減施設を使用しても、安全目標レベルをまだ満足できていない。
(図8-2-3-5-2参照)再度、防護層の追加又は見直しが必要。
図8-2-3-5-2 防護層二つによるリスク低減
追加又は見直しする防護層はリスク低減を1/100できるものでなければならない。今回は防護層2にSIS導入を考える。1/100できるSISによって、安全目標レベルを満たすことができた。(図8-2-3-5-3参照) このプラント設備では安全目標レベルを満たすためにリスクを1/100にできる、すなわちSIL 2の能力があるSISを導入することが必要である。
図8-2-3-5-3 SISを導入したリスク低減
6.注意点
a)作動要求モードで運用するSIFに要求されるSILは、JIS C 0511-1 表4、5によって定めなければならない。
① 低頻度作動要求モードはJIS C 0511-1表4。
② 高頻度作動要求モードはJIS C 0511-1表5。この場合、プルーフテスト間隔及び作動要求率のいずれもSILの決定に使用してはいけない。
b)連続運用モードで運用しているSIFに要求されるSILはJIS C 0511-1表5によって定められなければならない。
c)いくつかのSILを組み合わせて高水準の機能を満足させることが可能である。
例:SIL1及びSIL 2のシステムを組み合わせてSIL 3の機能を実現させる
d)SIL 4より高いSILをもつSIFはSISに割り当てられない。
e)防護層として使われるBPCSのリスク低減レベルは10未満としなくてはならない。もし10以上としたければ、BPCSは本規格に従わなくてはならない。
f)防護層間及び防護層とBPCSとの間の共通原因、共通モード及び従属故障の発生尤度が、防護層全体の安全度要求と比較して十分に低いことを保証するために評価しなければならない。
① 防護層間の独立性
② 防護層間の技術的多様性
③ 異なる防護層間での物理的な分離
④ 共通原因故障



