1-1-6-1 密度・比重計

 密度・比重計には各種の測定方式があるが、ここでは主に差圧式、浮子式、振動式、放射線式のものについて紹介する。
 また、質量流量計を利用し密度を測定する方法があるが、質量流量計の解説は流量計の項目を参照して欲しい。

  1. 差圧式
     液柱の圧力差を測定して密度を求める方式で古くから各種プロセスに利用されている。測定には密度に比例した伝送信号(空気圧または電気信号)を得るための差圧伝送器と補助機器類(基準液、気体パージセット、液体パージセット、シール液、リピータ等)が用意されている。差圧式の測定対象は、測定原理上から容器(タンクまたはベッセル類)内の液体に限られる。
     測定方式は、測定液の性質(腐食性、スラリー状、高粘度等)、プロセス条件(温度・圧力)および容器の設置状況等を十分に把握した上で選定することが必要である。
  2. 浮子式
     一定体積の浮子を液体中に吊し、その浮力を知ることにより液体の密度を求める方式である。液体中の物体がその物体の排除したものと同体積の液体重量と等しい浮力を受け、また液体の重量は密度に比例する性質を利用している。浮子での浮力の検出には、浮子とバネの力を平衡させて、その変位を差動トランスで検出する方法と、トルクチューブまたは変位変換器を利用して検出する方法がある。
  3. 振動式
     内部に液体を満たした断面一様なパイプの横方向の自由振動数を測定することにより、液体の密度を求めるものである。このパイプの形状と材質を一定とすると、内部の液体の密度とパイプの横方向の自由振動数との間には一定の関係があることを利用している。

    振動式密度計の構成例

  4. 放射線式
     放射性同位元素(セシウム-137、コバルト-60)から放射されるガンマ線が、一定厚みの物質を透過する際、その密度に対応した吸収、散乱を受けることを利用する測定方式である。この方式には、検出器に電離箱を使うものと、シンチレーション検出器を使うものがあり、プロセスに応じて使い分ける。電離箱式は、主として10A~12B以下のパイプライン中の物質、またシンチレーション式は、主として大口径のパイプラインやホッパ内の物質の密度測定に使われる。放射線式は非接触、非破壊で測定できる特徴をもっているが、その反面、ガンマ線を使用しているため法的規則があり、安全管理に十分留意する必要がある。

    放射線式密度計の構成例

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