1-1-1-3 放射温度計

 物体の温度が0 K(-273. 15 ℃)より上では、物体はその表面から熱エネルギーを放射している。この熱放射エネルギーの量は温度によって決まり,光と同様に空間を伝搬してエネルギーを輸送する性質がある。この性質を利用したのが放射温度計で,物体とセンサを接触させなくとも温度が測定できる。熱放射エネルギーの波長は0. 1~1 000 µmに分布するが,温度測定には0. 4~25 µmの可視光及び赤外域が利用され,高温測定には短い波長帯が,低温測定には長い波長帯が利用され,-50 ℃程度まで実用化されている。

図1 放射温度計の構成

 放射温度計の構造は,図 1.1.4のように,測定物体から放射される放射エネルギーの利得を高めたり特定波長を選択したりするための光学系,放射エネルギーをSi,PbS,PbSe,サーモパイルおよびサーミスタボロメータ等で電気信号に変換する検出素子,温度情報に変換するための電気回路から成り立っている。

 放射温度計の種類は次のようになる。詳細は各メーカのカタログ等を参考のこと。

  1. 単色放射温度計
  2. 2色放射温度計
  3. 走査型放射温度計

 放射温度計の特徴は,非接触で測定できるため,測定対象物の温度を変化させずに測定でき,接触式温度計に対して応答に優れている。ゆえに,移動物体や高温物体,小さな熱容量の物体の測定,離れた場所から表面温度などを測定するのに適している。なお,放射温度計の採用にあたっては対象物体の放射率と外乱影響について考慮する必要がある。

表1 放射温度計の測定可能な温度範囲

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