1-1-1-2 測温抵抗体

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測温抵抗体は,金属の電気抵抗が温度により変化する性質を利用した温度センサである。温度と電気抵抗の関係が明らかになっていれば,電気抵抗を測定することで温度が得られる。
電気抵抗の測定にはオームの法則として知られている関係を用いる。図1.1.3のように電気抵抗Rに既知の電流 Iを流したとき,電気抵抗 Rで生じる電圧降下(電位差)Eは電流 Iと電気抵抗 Rによって E=I・Rと表されるので,電圧降下 Eを測定すれば電気抵抗 Rを求めることができ,すなわち温度を求めることができる。

測温抵抗体.jpg  温度センサの材料は均質で,かつ測定する温度で安定していなければならない。これらの条件を満足する金属として,測温抵抗体の抵抗線には白金が用いられることが多く,工業用で多く使用される白金測温抵抗体は「測温抵抗体」として JIS C 1604で規格化されている。

JIS C 1604 で規定されている測温抵抗体は,Pt100,Pt500,Pt1000(いずれもR100/R0=1.3851)の3種類となり,規準抵抗値が基準関数によって定義されている。また、使用温度範囲も示されているので参照されたい。なお、従来あった日本独自のJPt100(R100/R0=1.3916)は, 1997年の改正において廃止された。

 測温抵抗体の構造には抵抗素子,内部導線および絶縁管を保護管内部に挿入した形式のものが汎用的に使用される。その他に,抵抗素子と内部導線を固く充填した酸化マグネシウムと金属パイプで覆ったシース測温抵抗体がある。素子以外の部分はシース熱電対と同様の構造であるため,長尺の製品の製作が可能で柔軟性がある。

 測温抵抗体は,長時間の使用でも安定しており-200 ℃~+600 ℃の使用範囲では熱電対よりも精度よく測定ができる。ただし,使用している抵抗線が細いため,振動や衝撃に弱く,設置場所や取扱いに注意が必要である。また,電気抵抗を測定するため,電流源が必要である。
測温抵抗体の特徴及び誤差要因を表1に示す。

表1 測温抵抗体の特徴及び誤差要因

測定方式種類特徴誤差要因

接触式

測温抵抗体

・-200 ℃~+600 ℃で精度良い温度測定に適する

・抵抗線が細いため,振動や衝撃の大きな場所には適さない

・挿入長不足

・測定導線や保護管からの熱の流出入

・測定電流による自己加熱

・抵抗線の経年変化

・導線抵抗のばらつき

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