6-3-2-2 ダストモニタ・ヨウ素モニタ

 放射線関連法令により放射性同位元素ごとの許容空気中濃度が規定されており、放射性物質取扱施設内で常時立ち入る場所および施設外への排気口における放射能濃度が決められている。
 ダストモニタは、排気口における放射能濃度が上記の許容濃度以下であることを確認することが主目的であり、他に放射線防護の観点より放射性物質の吸入摂取量の推定および個人内部被ばくモニタリングの必要性の有無の確認等の目的で設置される。
 モニタリングの方法としては、施設内の主要な点あるいは、排気口附近より、空気をサンプリングし、ろ紙等に、放射性物質を捕集して測定する。測定対象となる核種や化学形状を考え、ろ紙、サンプラ等が選択される。ダストを測定する方法を大別すると、  

  1. ろ紙を固定しておき測定する方式(固定ろ紙式ダストモニタ)
  2. ろ紙を移動させながら測定する方式(移動ろ紙式ダストモニタ)
  3. ヨウ素のような揮発性物質を活性炭で捕集して測定する方式(ヨウ素モニタ)
  4. サンプラによりろ紙に捕集し、後で測定装置により測定する方法に分けられる。

(1) 固定ろ紙式ダストモニタ
 一般に用いられる固定ろ紙式ダストモニタは、集じん部に検出器を組み込んだ集じん器と、真空度が比較的高く排気容量の大きいポンプを組み込んだダストサンプラにて構成される。検出器は、測定対象核種により異なり、通常γ線用としてNaI(Tl)シンチレーション検出器、β線用としてGM計数管、α線用としてZnS(Ag)シンチレーション検出器が用いられる。指示計は、一般に計数率計が用いられる。
 このモニタの特長として、集じん時間を長くすることにより、高い検出感度が得られる。しかし短所として、ろ紙の交換頻度が多いことがある。固定ろ紙式の場合、当初の指示値とある時間集じん後の指示値との変化量を測定する。
 
 (2) 移動ろ紙式ダストモニタ
 移動ろ紙式ダストモニタは、長尺ろ紙(60m程度)を一定速度にて移動しながら集じんし、測定するもので、ろ紙と検出器を組み込んだ気密ボックス(集じん部)と真空度の高い排気容量の大きいポンプを組み込んだサンプリング部とで構成され、検出器は固定ろ紙式と同様に γ線にはNaI(Tl)シンチレーション検出器、β線にはGM計数管や半導体検出器、α線にはZnS(Ag)シンチレータが使用される。
 移動ろ紙式ダストモニタの長所としては、濃度変化を直ちに指示することができ、集じん直後のβ,γ線の測定ならびに集じん後ラドン崩壊生成物の減衰を待ってα線の測定ができる点である。一方、短所としては、検出感度が固定ろ紙に比べて低い点があげられる。移動ろ紙式ダストサンプラの特殊な使用方法として、ろ紙をステップ送りにして使用する方法があり、この方法は、ろ紙を固定し集じんして、一定時間後ステッブ状に移動するため、固定ろ紙式および移動ろ紙式相方の長所を併せ持っている。

(3) ヨウ素モニタ
 ヨウ素は、揮発性物質であり、また使用量も多く、体内に入ると甲状腺に集まる性質があり、特に内部被ばくモニタリングにおいては重要となる。また、活性炭によく吸着することが知られている。
 ヨウ素モニタは、前述の固定ろ紙式ダストモニタと構成は同じだが、ろ紙は、活性炭カートリッジまたは活性炭ろ紙を使用する。検出器は、以前はGM計数管が使用されていたが、最近は、NaI(Tl)シンチレーション検出器を使用する。
 NaI(Tl)シンチレーション検出器は、入射するγ線のエネルギーの大きさに比例した電圧パルス信号を出力する。これを利用し、131Iからのγ線あるいは125I、129Iからのγ線を選別して測定を行う。

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