4-1-2 寸法、形状、変位

 この項目では、物体の大きさと形およびその変化率を測定する計測器を紹介する。これらの計測器は光、静電容量、超音波、磁界、電気抵抗値の変化など用途により最適な方式が選択される。

(1)変位計

 光学式変位計は被測定物体から反射、散乱された光ビームの位置変化を三角測量方式で測定している。近年は単色性の良いレーザを光源に用いたものが多く、微小面積の測定が可能なほか測定範囲が広く高精度という特徴がある。また、ゴムなどの黒色の物体の計測が可能な高感度な機種や、左右2つの光源を用意しステレオ方式で対象物体の3次元変位を測定する機種も開発されている。静電式変位計は静電容量の変化から変位を求める装置で、比較的広い面積の平均的な変位を高精度に測定できる特徴がある。渦電流式変位計は、磁界を利用した非接触型センサである。ゴム、オイルミスト、塵埃などの絶縁物を透過して高精度な変位測定ができる。接触式の変位センサでは、スピンドル式のデジタルリニアゲージがある。接触式変位センサは悪環境においても確実性の高い計測が可能という特徴がある。

(2)厚み測定器

 タッチロール式の厚み測定器は悪環境においても確実性の高い計測が可能という特徴がある。静電式変位計により、半導体ウェハや金属板、プリント基板、フィルムなどの厚み測定が可能である。比較的広い面積の平均的な変位を高精度に測定できる。

(3)ドップラ振動計

 光の干渉現象を利用して物体の高速振動や速度を計測・解析する装置としてドップラ振動計がある。近年は高速度化、高感度化により用途が拡がっている。

(4)光学式外径測定器

 光学式外径測定器は物体の影絵からその外径を測定する装置で、回転ミラーを使わないため安定性が高く高速サンプリング可能なタイプが登場している。

(5)レーザスケール

 高精度の定規であるレーザスケールは温度、気圧変化、空気のゆらぎなどの影響に対する対策が行われナノメータオーダーの精度を実現している。

(6)ひずみゲージ

 電気抵抗の変化で応力・ひずみを測るひずみゲージでは、最高使用温度750℃の高温ゲージ、フォトエッチングにより特性のばらつきが少ない箔ゲージが開発されている。また、ひずみゲージを利用した変位変換器は低価格の変位センサとして用いられている。

(7)汎用画像処理装置

 TVカメラを2次元センサとした、画像計測システムも物体の大きさや形状計測に広く用いられている。

目次へ
ページトップへ