3-6-1 ベクトルスコープ

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 NTSC 方式及び PAL 方式のカラーテレビジョンでは、副搬送波は色差信号 R-Y と B-Y で直角二相変調して伝送される。ベクトルスコープは、有線、無線の伝送系から受けるこの副搬送波の振幅ひずみと位相ひずみを測定するための測定器である。

 図 1 にベクトルスコープの基本的な接続を示す。

ベクトルスコープの基本的な接続

 ベクトルスコープは、通常、被測定伝送系の入力端に入力された調整用のカラーバー信号を被測定伝送系の出力端で受け、副搬送波成分だけを取り出し、これを R-Y 復調器と B-Y 復調器によって復調して、それぞれ CRT(陰極線管)の Y 軸と X 軸に加えてベクトル表示する。

 図 2 に、ベクトルスコープの基本的なブロック構成とベクトル表示の原理を示す。
 入力端子に入力された NTSC コンポジットカラーバー信号は、入力増幅ブロックで増幅され、バースト信号と副搬送波成分だけが出力される。
 基準発生ブロックでは、バースト信号を検出して基準信号を生成する。R-Y 復調ブロックと B-Y 復調ブロックは、副搬送波信号とそれぞれ 90°位相の異なる基準信号とを受け、それぞれ R-Y 復調信号と B-Y 復調信号を出力する。R-Y 復調信号は CRT の Y 軸に、B-Y 復調信号は CRT の X 軸に入力され、CRT の管面にベクトル表示される。CRT の管面には、予め被伝送カラーバー信号の各色のベクトルの振幅誤差範囲及び位相誤差範囲を示すスケールが設けられており、CRT に表示されたベクトル表示とスケールとを比較して被伝送カラーバー信号の振幅ひずみと位相ひずみを測定する。
 ベクトルスコープは、カラーテレビジョン方式に応じて、NTSC 用、PAL 用及び両者共用がある。
 また、被測定信号の種類に応じて、コンポジット信号用、アナログ/デジタル・コンポーネント信号用、SD-SDI 信号用、HD-SDI 信号用などがある。
 さらに、波形モニタと一体になっているものや、CRT ではなく液晶表示器に表示するタイプのものもある。

ベクトルスコープのブロック構成とベクトル表示の原理

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