アジアセミナー「製造業のためのシンガポールAI戦略」 開催報告

JEMIMA国際委員会主催のアジアセミナーにおいて、シンガポール経済開発庁(EDB)のクラレンス局長より「製造業のためのシンガポールAI戦略」についてご講演いただき、同国の産業政策やAI活用の最前線について包括的な説明が行われました。当日は、対面とオンラインの双方から約40名の参加者を迎え、盛況のうちに終了しました。

〔講演内容〕
冒頭では、シンガポール製造業の現状が紹介されました。製造業はGDPの約18.5%を占める主要産業で、特に半導体・精密機器・石油化学・バイオなど多様な分野で成長が続いていることが説明されました。政府は2030年に向けて生産高・付加価値を50%増とする目標を掲げ、研究開発への投資を大幅に増額しています。半導体と低炭素分野はフラッグシップ領域として重点的に支援されており、大学・研究所・企業が連携する体制が整備されています。
続いて、国家AI戦略(National AI Strategy 2.0)の枠組みが紹介されました。データセンター整備や海底ケーブル拡張といったインフラ強化に加え、AI人材育成、応用研究の推進、AIガバナンス整備を国家規模で進めていることが説明されました。特にAIスタートアップは1000社以上に拡大しており、NUS・NTUなど大学のAI研究力を背景とした活発なエコシステムが形成されています。
製造業向けには、AIの実装を支援する「AI Centre of Excellence for Manufacturing (AIMfg)」が設立され、QA/QC、予知保全、自動化、最適化、設計支援の5領域で企業との共同プロジェクトが進行中です。Heineken、GlobalFoundries、GSK などのグローバル企業がシンガポールを拠点にAI開発を展開している事例も紹介されました。
AIガバナンスについては、「AI Verify」をオープンソース化し、企業がAIの透明性・安全性を評価できる仕組みを提供していることが説明されました。
質疑応答では、ASEAN経済統合の進展、日本企業のアジア展開への示唆、AIスタートアップの現状や人材育成の実情などについて活発な議論が行われました。

今回の講演は、シンガポールがAIを国家競争力の中心に位置づけ、産業との連携を通じて具体的な成果を生み出している姿を明確に示すものとなりました。

当日の開催概要(プログラム)

2026年3月9日(月)15:00~16:00 〔対面・Zoomウェビナー ハイブリッド開催〕
・開会挨拶・講師紹介(国際委員会 委員長 増田 一美)
・講演 テーマ:製造業のためのシンガポールAI戦略~アジアのビジネスハブとしてのシンガポール~
    講 師:シンガポール経済開発庁(EDB)企画担当シニア・バイスプレジデント兼日本・韓国地域局長
        クラレンス・チュア 様

講演風景(会場) Mr. CLARENCE CHUA

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