3.2.10 食品放射能モニタ

 原子炉事故などによって放射性物質が周辺環境に拡散すると、そこで採取、収穫、加工された食材や食品が汚染される可能性があり、人がこれらを摂取した場合には、その中の放射性物質により内部被ばくを受けることになる。
 食品モニタリングの方法は、「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」(厚生労働省医薬局食品保健部監視安全課、平成14年3月)に規定されているが、放射性セシウムに対する測定方法としてはGe半導体検出器を用いたγ線スペクトロメトリーによる核種分析法が規定されている。しかしながら、当該装置は非常に高価で且つ機器設置台数が少ないこと、1回の測定時間が長いことから、周辺環境に存在する膨大な量の食材や食品を効率良く測定することは難しい。このため、放射性セシウム濃度が暫定規制値よりも確実に低い検体を判別するためのスクリーニング法が「(別添)食品中の放射性セシウムスクリーニング法」に策定されている。
 以下では、放射性セシウム濃度を、スクリーニング法を用いて測定するシンチレーション式食品放射能モニタ(以下では「本モニタ」と呼ぶ)について紹介する。
 本モニタは、概ね図3.2.10-1に示すように測定架台、試料容器、鉛シールド、シンチレーション検出器、プリアンプ、計測部で構成する。試料容器に食材または食品を詰め込んだ後に、試料容器を測定器架台内に投入する。試料容器からのγ線は、シンチレーション検出器で検出し、その検出信号をプリアンプで増幅した後に、計測部で計数する。計測部は、得られた計数からバックグラウンド計数を差し引いて正味計数を求め、これに放射能換算係数を乗じるとともに試料質量で除して放射能濃度を算定する。放射能濃度は、予め設定されたスクリーニングレベルと比較してスクリーニング判定を行う。
 図3.2.10-2に、シンチレーション式食品放射能測定器の製品例を示す。図3.2.10-3は、測定試料をコンベアで流しながら検出部に送り込み、連続的にスクリーニング判定を行う方式の製品例である。
図3.2.10-1 シンチレーション式食品放射能モニタの構成例
図3.2.10-2 シンチレーション式食品放射能モニタの例(バッチ測定)
図3.2.10-3 シンチレーション式食品放射能モニタの例(連続測定)