3.2.7 ホールボディカウンタ

 ホールボディカウンタ(whole-body counter)は、原子力施設および放射線施設における作業者、放射性物質に汚染されたまたは汚染されたおそれのある地域で就業する作業者および同地域に居住する一般公衆の内部被ばく線量を推定するために、人体内のγ線放出核種から放出されるγ線を体外から検出することによって放射能を測定するものである。本装置は、全身内部汚染計(whole-body internal contamination meter)または体内放射能測定装置 (in vivo counter)とも称される。
 ホールボディカウンタは、その使用形態により据置形、可搬形、携帯形に分類され、用途(性能)により以下に分類される。
  • Ⅰ形:核種分析機能付き内部被ばく線量評価用
  • Ⅱ形:核種分析機能付きスクリーニング測定用
  • Ⅲ形:核種分析機能なしスクリーニング測定用
 この他に、測定時の被検者の姿勢により、寝た状態で測定を行うベッド式、椅子に腰かけた状態で測定するチェア式、立った状態で測定する立居式に分類される。
 ホールボディカウンタの構成図の一例として、図3.2.7-1に据置形、Ⅱ形、チェア式のホールボディカウンタの構成図を示す。このホールボディカウンタは、チェアの背面に配置した2本のNaI(Tl)シンチレーション検出器により、座った被検者の体内のγ線放出核種から放出されるγ線を検出する。計測系統は、概ね検出器、プリアンプ、計測部(MCA機能を含む)、データ処理装置で構成する。検出器で検出した計測パルスからγ線スペクトルを測定してγ線核種分析を行い、主要な複数の核種について体内の残留放射能を算定するとともに、スクリーニング判定を行う。なお、甲状腺単独のスクリーニング測定を行いたい場合には、同図に示すように別置のNaI(Tl)シンチレーション検出器等を設ける場合がある。ホールボディカウンタは、体内のγ線放出核種から体外に放出される微弱なγ線をバックグラウンド放射線に対して有意に検出する必要があるため、 筐体には厚い鉛シールドを取り付けて、バックグラウンド計数率を低減させる工夫をしている。
 図3.2.7-2および図3.2.7-3には、ベッド式とチェア式のホールボディカウンタの実例を示す。
図3.2.7-1 ホールボディカウンタの構成図例
(据置形、Ⅱ形、チェア式ホールボディカウンタ)
図3.2.7-2 ベッド式ホールボディカウンタの例
図3.2.7-3 チェア式ホールボディカウンタの例
 ホールボディカウンタの校正にあたっては、人体や器官を模擬した標準体積線源であるファントムを用いて行うが、ファントムには、BOMABファントム、ブロックファントム、ランドファントム等の種類があり、測定対象や測定用途に照らして適切であり、且つ国家標準とトレーサビリティの取れたものを選定する必要がある。